自然な状態で、おいしく食べられる時間を保つ
ご飯を炊いて、お櫃に移す。
炊飯器が普及してからほとんど行われなくなった習慣が、おいしいもの好きの人々の間で見直されつつあります。
炊きたてのご飯から余分な蒸気を吸収し、自然な状態で、おいしく食べられる時間を保つのが、お櫃の役割。
頼れる無垢材の道具です。
桶に蓋を乗せたシンプルな構造は、関西型と呼ばれる形。
中にちょうど3合のご飯が入ります。
素材は国産、無塗装の椹〈さわら〉。ヒノキ科の針葉 樹ですが強い香りがなく、食品に匂いを移しません。
一点一点が、今や貴重な桶職人による手作りです。
桶を締める竹製の箍〈たが〉の美しさや、竹釘で固定した堅牢な作りなど、その技の確かさがうかがえます。